埼玉県吹奏楽NEWS No.9   平成13年6月11日(月)発行

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レポート特大号!

 

日時:平成13年6月10日(日) 13時開演
会場:大宮ソニックシティ大ホール
主催:学校法人尚美学園、尚美学園大学
後援:埼玉県、埼玉県教育委員会、埼玉県吹奏楽連盟、日本管打・吹奏楽学会、朝日新聞社さいたま支局、
    讀賣新聞社さいたま支局、毎日新聞社さいたま支局、埼玉新聞社、産経新聞者さいたま支局、
    東京新聞さいたま支局、日本経済新聞社さいたま支局、NHKさいたま放送局、テレビ埼玉、
    尚美学園大学後援会
出演:浦和学院高等学校、春日部共栄高等学校、県立伊奈学園総合高等学校、埼玉栄高等学校、
    さいたま市立七里中学校、さいたま市立馬宮東小学校、尚美ウインドフィルハーモニー、
    草加市立川柳中学校(五十音順)


 埼玉県内のトップクラスのバンドが集まって開催された、「第13回吹奏楽フェスティヴァルinソニック」は曇り空の中盛大におこなわれました。残念ながら終演近くになり激しい雨となり、外の鈴鐘公園でも野外演奏が同時進行で行われていましたが、雨にぬれてしまったバンドもあったようです。
 この吹奏楽フェスティヴァルも今回で13回目を向かえ、ますます注目度が高まっているように感じますが、少しコンクールの前哨戦的なところがあるのが少し残念に思えます。もう少しフェスティバルの色が出るとさらに面白い演奏会になるのではと思いました。

 前述しましたが、外ではホールと同時にさいたま市の市制を記念して、日本管打・吹奏楽学会主催による「バンド・セレブレーションパレード for SAITAMA」が開催されました。

  各学校がいろいろと工夫をこらしたステージを披露し、多くの観客で会場は埋め尽くされていました。まったく吹奏楽をやっていないお客さんも音に引き寄せられ立ち止まって聞いていってるようでした。あいにく最後の方には雨も降り出し残念でしたが、合計7つのバンドによる楽しい演奏でした。

 また、今回特別出演として昨年の夏にデビューしたばかりだという尚美学園マーチングバンドによる演奏が大宮駅西口デッキでも行われたようです。
 このようにまったく吹奏楽を聞いたこともない方が気軽に立ち止まって聞けるような機会ができたことは非常に喜ばしいことだとおもいます。今後もこの活動が続くことを期待するばかりであります。
 ただ、野外演奏のプログラムが記載されている演奏曲目と実際の演奏がぜんぜん違っていたりしていたところがあったのは残念。もう少し出演団体と協力体制をとって演奏曲目と演奏内容がぜんぜん違っていたということだけは避けて欲しい。まぁ、急な曲目変更ならしょうがないですが・・・。

 一方ホールの中でも白熱した演奏が行われました。フェスティバルのオープニングを飾ったのはマーチングフェスティバルの全日本大会常連校の浦和学院高等学校のみなさんのすばらしいステージドリルで第1部の幕開けとなりました。曲目は、キャンゾン、ホワイター・シェイド・オブ・ベイルなど計4曲でした。
 
続いてさいたま市立馬宮東小学校。全校児童460名で部員はなんと4年生以上で構成された102名。4年生以上だと吹奏楽部への加入率はなんと約5割!驚異的な数字です。

 平日に吹奏楽の行事が入ると、4年生以上の教室はガラガラだとか。恐るべき小学生です!!演奏曲目は映画「ダイナソー」の音楽、他計3曲でした。
 3番目は、草加市立川柳中学校。行進曲「SLが行く」、フニクリ・フニクラなど計3曲を演奏し、非常にはつらつとした中学生らしい演奏を披露してくれました。
 第1部の最後は春日部共栄高等学校のみなさんでした。昨年、全日本大会初出場金賞という快挙を成し遂げ、いま非常に波にのっている学校です。曲は、五つの沖縄民謡による組曲より「芭蕉布」(普久原恒勇作曲/真島俊夫編曲)そして、吹奏楽のためのプレリュード〜「時計台の鐘」の旋律による(鈴木英史)、他計3曲でした。この「時計台の鐘」は札幌市に誕生したコンサートホールKitaraのオープンを記念して作曲されたそうです。少々荒削りの部分もありますが、そんなことはまったく気にさせない非常に幅広い重厚のあるサウンドでさすがといえる堂々たる演奏でした。
 
さて、ホールのロビーにはウィンズさんやブレーンさんなどがお店を出しており、直に楽器やCDを展示していました。直接手にとってみれるため、中学生や高校生もかなり群がっていました。カタログなども自由に持ち帰ることもでき、中には何冊も手にとって持ち帰っていた生徒もいたようです。笑

 第2部のオープニングは尚美ウインドフィルハーモニーによる2001年度課題曲の参考演奏がおこなわれました。これを聞きにきた中高生も多かったのではないでしょうか?もうまもなくコンクールシーズンの到来です。やっぱり課題曲をどう演奏するかというのは悩みの種だと思います。
 
このバンドを指揮されている加養浩幸先生はご存知の方も多いのではないでしょうか?あの千葉市立土気中学校を9年連続して全国大会に導いた先生で、現在はこの尚美学園大学の講師を開校当時からされています。また、土気シビックウインドオーケストラの音楽監督もされていて、こちらも全国常連バンドとなっています。
 その加養先生によるワンポイントアドバイスもありました。簡単に要約すると「課題曲4曲ともマーチだが、それぞれ特色が違う。その特色を出せるように研究してほしい。顧問の先生は時々第3者に指揮をしてもらったりして客観的にバンドの演奏を聞いてほしい。」ということでした。(内容はだいたいこういうことだったと思います。違ってたらすいません・・・)
 演奏の方は4・5回ほどの練習しかできなかったということでしたが、さすが音楽を専門にやっているだけはあって、模範となる演奏だったのではないでしょうか。中高生のみなさんも参考になったと思います。最後に1曲追加され、今はやりの作曲家S.メリーロの「ミレニアム 第1楽章」を演奏しました。非常に難曲でど派手な曲ですが、とても簡単そうに吹ききっていたのはすばらしかったです。音も乱れずに最後まですばらしい演奏を聞かせてくれました。見事です。
 第2部の最後はオープニングにも登場した浦和学院高等学校のみなさんです。オープニングではすばらしいステージドリルを聞かせていただきましたが、今度は座奏です。オープニングは有名な行進曲、「双頭の鷲の旗の下に」(ワーグナー作曲)でした。マーチは浦学に吹かせるとうまい!そう思いました。切れのあるサウンドと本来の行進曲の特徴をしっかりととらえた、行進曲の模範となる演奏でした。2曲目はバレエ音楽「青銅の騎士」(R.グリエール作曲/林紀人編曲)を演奏してくれました。もう少し横に流れる音楽のうたい方があるとさらによい演奏になったと思いますが、それでもバレエの情景が伝わってくるような演奏に好感がもてました。

 第3部のオープニングを飾ったのはさいたま市立七里中学校のみなさんです。交響組曲「シェエラザード」(リムスキー=コルサコフ)や交響的ビートルズなど3曲を披露してくれました。全校生徒303名の小規模校で、本日は34名の出演でした。しかし、そんな人数の少なさを感じさせない力強いサウンドが印象的でした。顧問の先生によると常にお年寄りからお子様まで楽しめるプログラムを考えているとのこと。こういう配慮は非常にありがたいですね。 
 続いて県立伊奈学園総合高等学校です。この学校も今では全国常連校です。今年の課題3の「あの丘をこえて」(星谷丈生)、リヴァー・ダンス(B.ウィーラン作曲/C.ストロンメン編曲)、そしてモーニング娘。メドレーの計3曲を演奏しました。リヴァー・ダンスはとても難曲です。それをいとも簡単に演奏してしまうところはさすがですね。思わず演奏終了後に「うまい!」と言ってしまった演奏でした。ブラボーです!!そして伊奈学園といえばステージの楽しさです!毎年さまざまな演出を考え、常に楽しいステージ作りをしています。今回もモーニング娘。メドレーでは馬宮東小学校の児童さんと一緒に踊ったりといつもとは違ったステージを見せてくれました。こういた、学校を越えた交流があるとまたさらに楽しい音楽活動ができるのではないかと思います。特に小学校の児童のみんなと一緒に踊ったりすることはめったにないことですから、非常にいい機会だったと思います。ちなみに演奏中の動きなどは生徒さんが考えているそうです。
 
そして本演奏会のトリを務めるのは、吹奏楽をやっている人なら誰もがあこがれる埼玉栄高等学校のみなさんでした。埼玉栄といえば、全国大会10回金賞を受賞し、数々の海外演奏、テレビ出演などをこなす吹奏楽界のトップバンドです。その栄高校が演奏したのは「アルプスの詩」(F.チェザリーニ作曲)です。R.シュトラウスの「アルプス交響曲」を知っている人は、きっと似てる!って思った場面があったと思いますが、チェザリーニはシュトラウスに敬意を示す意味でこの曲を書いたようですよ。この曲は20分以上に及ぶ壮大な交響詩です。そのスケールは非常に幅広く、今回の栄高校の演奏も大変すばらしく、感動した演奏になりました。100名を超すと思われるバンドでこの曲を演奏したら、ものすごい大迫力になったということは、この曲を知っている人なら想像できるのではないでしょうか?栄高校の実力をフルに出し切ったトリにふさわしい大曲の演奏でした。ただひとつ言うならば、もう少しソリストの歌い方が工夫されると鬼に金棒の演奏だったと思います。繊細な場面と非常に迫力のある場面の両方が見事に表現され、ぜひまたこの曲を聴いてみたいと思える演奏でした。とにかく感動!そして驚きの1曲だったことは間違いありません。しばらくは放心状態でした。しかし、演奏が終わる前に拍手をするのは非常に残念でした。感極まって拍手をしてしまうというのはわかりますが、ぜひ最後の余韻まで楽しんで聞いてほしいとおもいます。

 最後に、この1日非常に心地よい気分で終わらすことができました。きっとこの日の準備のために、尚美学園の方々や関係者のみなさんはいろいろと準備してきたと思いますが、本当にご苦労さまでした。一聴衆として、非常にすばらしい演奏会だったと思います。個人的な希望とすれば、ぜひ大学や一般のバンドの演奏も一緒に聞いてみたいという気はしますが、それは無理でしょうか?それとも趣旨ちがいでしょうか??いずれにしろ、また来年聞きに行きたいと思ったのは間違いありません。出演者のみなさん、関係者のみなさん、本当にお疲れ様でした。そしてまた来年もいい演奏会期待しています!!!

(文責・構成/本局管理者・pell)